I Like Moviesアイ・ライク・ムービーズ
Filmarksのオンライン試写会で鑑賞させていただきました。

映画.COMより引用
作品情報
史上最高のカナダ・コメディの一本に選出!
《トラブルメーカーな高校生》の映画愛の行方は―
2003年のカナダを舞台に、人間関係がうまくいかず、行く先々でトラブルを引き起こす映画好きな高校生を描いた青春コメディ『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』。本作は新星チャンドラー・レヴァックによる長編デビュー作で、自伝的要素を含んだ痛烈な脚本が、トロント国際映画祭を皮切りに熱狂的な評判を呼び、バンクーバー映画批評家協会賞で最優秀カナダ映画賞など4部門を受賞した。主人公ローレンスを演じるのは、若手俳優でラッパーとしても活動するアイザイア・レティネン。ローレンスがアルバイトを始めるレンタルビデオ店の店長で、問題だらけの彼とふとしたことから【奇妙な友情】を育んでいくキーパーソン、アラナ役にはトロント出身の実力派ロミーナ・ドゥーゴ。『ゴーストワールド』(01)や『レディ・バード』(17)とも比較される本作は、どうしようもなくエキセントリックで切なく不器用な高校時代を描いた青春映画であるとともに、理想と現実の狭間でもがき苦しむ若者の普遍的な成長物語でもある。
「カナダ映画の未来」と期待を寄せられる本作がついに日本上陸!
公式より引用
あらすじ
カナダの田舎町で暮らすローレンスは映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えない彼の願いは、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学ぶこと。唯一の友達マットと毎日つるみながらも、大学で生活を一新することを夢見ている。ローレンスは高額な学費を貯めるため、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始め、そこで、かつて女優を目指していた店長アラナなどさまざまな人と出会い、不思議な友情を育む。しかし、ローレンスは自分の将来に対する不安から、大事な人を決定的に傷つけてしまい……。
公式より引用
主な登場人物の紹介

主人公 ローレンス・クウェラー(アイザイア・レティネン)
カナダの田舎町で暮らす映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えない性格だが、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学び、映画監督になるという夢を持っている。大学入学を機に生活を一新することを望んでいる。

マット・マカーチャック(パーシー・ハインズ・ホワイト)
ローレンスの唯一の友達。

アラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)
ローレンスがアルバイトを始めた地元のビデオ店「シークエル」の店長。かつて女優を目指していた。ローレンスと不思議な友情を育んでいいく。

テリ(クリスタ・ブリッジズ)
ローレンスの母。気難しい息子の将来を心配している。
映画.com、FASHION PRESSより引用
魅力を感じた所(ネタバレを含みます)
- 主人公は最低で最悪
・才能があるわけでもなのに、自己評価が高く他人を見下す。
・女性を見下し、友達も母親も好きな人も見下す。
・性差別も多い
・自己中心的で他の人の迷惑はお構い無し
・映画が好きな自分が好きなナルシスト
・思っていることをそのまま口に出してしまう
・責任感がない
・他人の気持ちをないがしろにする。
- 主人公の凄い所・羨ましい所
・自分の好きを言語化できる
・自分の好きに純粋
・自分は偉大になると信じてる
- 好きなシーン
友人マットとのことでショックを受けたローレンスが、職場の控え室で精神疾患の発作を起こして閉じこもった時に母親がかけた言葉。
「目を閉じてみて」
「それから海を思い浮かべるの」
「キャスト・アウェイ」の海を」
「呼吸を続けて」
「ウィルソンに水がどんなものか教えて」
母親は映画でしか会話のできないローレンスに頑張って合わせていたのだと思う。
- あまり好きじゃないシーン
マットと一緒に「パンチドランク・ラブ」を観るシーン。そのまま2人を映したらいいのに、急にローレンスの表情だけを映して、映画を観ている人の表情見るの好きでしょ?っていう感じが鼻につく。
- 笑ったところ
・友達のマットがローレンス名義でHなシーンのある映画を借りてめちゃめちゃ延滞してるところ。それをビデオ屋のアラナに誤解されるところ。
・アラナを想像して自慰行為をしていたところを母親に見られたが、たまたまつけていた「スパルタカス」のせいでさらに変な空気になるところ。
・シュレックの新規映像特典版を5枚売ってと言われ、本物の映画が良いと言った直後に「シュレックのことなら私に聞いて」と言うタスキをローレンスがかけているシーン
- 辛かったところ
・マットがずっと延滞していた「ワイルドシングス」を手渡しじゃなくロッカーに入れて返してきたこと。仲違いをしても、延滞していたDVDで繋がっていたのに、それを間接的に返してきて、お前とはもう関わらない、繋がりを切りたいと遠回しに言われるところ。
・母親に、私もできることならあなたから逃げたいと言われたこと。
- 印象に残ったセリフ
・壁に貼ってある「マグノリアの花たち」のポスターを見た女子大生が「映画好きなの?」と聞いた時、ローレンスが答える「映画が好き。君は何が好き?」
感想(ネタバレを含みます)
最低で最悪なローレンスの成長に勇気づけられた!って本当は思いたいけど、そんなことよりもローレンスと自分を重ねてしまいすぎて、
グッサグサ刺さるとても痛々しい映画でした。
過去のトラウマから精神疾患を抱え、逃げ場所だった映画にどっぷり浸かってしまう。
作中でローレンスがナルシストって言われていることも自分ごとのように感じてしまって…。
結局、映画が好きな自分が好きなだけなのかもって思ったら、最低で最悪なローレンスに感情移入してしまい、それからは辛いと感じることの連続でした。映画が僕のすべてで、映画のない人生なんて考えられないって言って夢に対して貪欲な雰囲気を出してるけど、そんな自分に酔ってるのもあるのかって考えたら恥ずかしくなってきます。
それでいて、自分ほど何かに熱中していない人を心のどこかで見下していたのかもって考えると、そういう認めたくない心のフタを開けられ抉られるような感覚にしんどくなりました。
ローレンスの成長を見て勇気を与えられるのではなく、ローレンスの行動による周りの反応と迷惑を見て反省させられ、少しだけ成長させられたっていう感覚に近かったです。
作中のローレンスは相手の気持ちまで考えられないけど、画面を通してローレンスを俯瞰して見ている僕たちはローレンスの行動で相手がどんな気持ちになっているのかわかりますよね。
この時のローレンスを僕は現実の自分に重ねてしまうんです。
ローレンスは僕です。
僕は問題が起きたら、自分が正しい、相手が間違えてるって考えてしまうことがよくあります。しかも自信たっぷりで。
でも1歩下がって俯瞰して見てみると、相手の視点から問題を見つめ直すことが出来る。
そうすると見えていなかった自分の問題も見えてきて、何が正しくて何が間違ってたか考え直すことができます。
そういう多角的な視点で問題を見つめることが成長に繋がるのかなって感じました。
ローレンスは映画を観て少し成長した後でも、
自分の何がいけなかったのかわからず、
「僕らはなぜ疎遠に?」とマットに訊ねます。
マットから直接聞いて、自分がマットの心を傷つけていたことに気が付きます。
それで謝りますが、すぐに切り替えてサインを書いて、〜に行こう、〜をしようって自分の願望をマットに話します。
アルバムの文面ではいい感じになりましたが、
僕はあれがマットとの最後だと考えています。
あれで「はみ出し者たちの夜」は終わり。
そこからローレンスの新しい人生が始まるのだと感じました。
正直、ローレンスはそんな簡単には変われないし、また人の心を無意識に傷つけると思います。それでもそんなローレンスを理解して一緒に成長させてくれる存在も必ずいるのだと希望を感じるラストでした。
登場した映画
・フルメタル・ジャケット
・ジュマンジ
・8Mile
・キャスト・アウェイ
・俺たちに明日はない
・パルプ・フィクション
・影なき狙撃者
・スパルタカス
・ダーティ・ダンシング
・ラストナイト
・クロウ/飛翔伝説
・かいじゅうたちのいるところ
・シュレック
・アダプテーション
・ボウリング・フォー・コロンバイン
・キューティ・ブロンド
・隣のヒットマン
・ブルークラッシュ
・パンチドランクラブ
・サンタクロースリターンズ
クリスマス危機一髪
・クリスマス・キャロル
・グッドフェローズ
・ハピネス
・シャイニング
・マグノリアの花たち
・ワイルドシングス
最後に
とても良い作品でした。
評価は4.4/5.0
恐ろしく痛々しい傑作です…
劇中でローレンスが食べていた「ツイズラー」というアメリカのキャンディー?を食べてみたくなりました。ローレンスがよく飲んでいたルートビアも良かったですね。好き嫌い分かれる癖のある味が好きなのでしょうか。ますます自分と似ていて泣けてきます…